レモンユーカリの虫よけ成分「メンタンジオール(PMD)」とは|海外での評価と研究

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メンタンジオール(PMD)は、レモンユーカリの葉に含まれる香り成分をもとに作られる虫よけ成分です。海外では米国をはじめとする地域で、虫が近づきにくくなる成分(忌避成分)として制度上登録・管理されています。

「レモンユーカリは虫よけになる」と聞いたことはあるけれど、どうしてそう言われているのか、ちゃんと説明されている記事は意外と少ない気がします。

調べていく中でよく出てくるのが、このメンタンジオール——化学名でp-メンタン-3,8-ジオール、略してPMDと呼ばれる成分でした。

ポイントは、レモンユーカリの精油そのものとは立場が違うということ。精油に元から入っているのではなく、精油の成分を加工して作られます。

この記事では、メンタンジオールについて「効く・効かない」を判断するのではなく、海外ではどんな位置づけで扱われているのかを、私なりに整理してみたいと思います。


まず整理:メンタンジオール、PMD、OLEは全部同じもの

この成分は、呼ぶ人によって名前が変わります。混乱しやすいので、先に整理しておきます。

呼び名どこで使われる言葉か
メンタンジオール日本の化粧品成分表示名(このサイトの基本の呼び方)
p-メンタン-3,8-ジオール化学名。日本の商品ラベルでもよく見かけます
PMD上の化学名の略。海外の論文や資料で一般的
OLE(Oil of Lemon Eucalyptus)米国での呼び名
Citriodiol®英国の原料ブランド名
COOLACT®38D日本の香料メーカーによる製品名(冷感素材として)

呼び名は違っても、すべて同じ成分です。 そして、これらと混同しやすいのが シトロネラール。こちらはレモンユーカリの精油そのものの主成分で、別のものです。

  • シトロネラール = 精油に元から入っている香り成分
  • メンタンジオール(PMD) = シトロネラールを加工して作る成分

👉 OLEとPMD、何が違うの?混乱しがちな2つの成分を整理してみた


レモンユーカリから作られるメンタンジオール(PMD)

レモンユーカリ(学名:Corymbia citriodora)は、オーストラリア原産の樹木で、葉を水蒸気蒸留すると精油が得られます。この精油の主成分がシトロネラール(約80%)という香り成分で、これを化学的に変化させるとメンタンジオール(PMD)ができます。

  • 化学式:C10H20O2
  • 性質:無色〜淡黄色の液体で、揮発しにくく肌への残留時間が長い
  • 生成方法:シトロネラールに酸を加えて反応させると、分子が輪の形に組み替わり、メンタンジオールになります。(このとき水が1分子加わるため、化学式は C10H18O から C10H20O2 に変わります)

この「揮発しにくい」という性質が、次の話につながります。


なぜ虫よけになるといわれているのか

米国CDCやEPAによれば、メンタンジオール(PMD)は皮膚や衣服に塗布すると蚊やブユなどの昆虫が近づきにくい性質があるとされており、海外では昆虫忌避(repellent)成分として扱われています。

精油そのままではなく加工する理由も、ここにあります。シトロネラールは揮発が速いため香りがすぐ飛んでしまいますが、メンタンジオールは揮発しにくいぶん、効果が長持ちするとされています。「精油を塗るのと何が違うのか」の答えが、この性質の差です。

各機関の位置づけ


メンタンジオールと他の虫よけ成分の違い

項目メンタンジオール(PMD)ディートイカリジン
由来植物由来(加工)化学合成化学合成
持続時間※約4〜6時間約4〜8時間約4〜8時間
海外での評価EPA登録/CDC推奨EPA登録/CDC推奨EPA登録/CDC推奨
日本での流通意外にある(雑貨として)多い多い
子どもへの使用3歳未満は使用しない(CDC)2ヶ月未満は不可制限少なめ

※持続時間は海外製品の表示を参考にしています。使用状況や製品により異なります。 ※日本での使用については各製品の表示をご確認ください。

「植物由来」といっても、精油をそのまま使っているわけではなく、加工を経て作られる成分です。天然だから安全、というわけでも、合成だから危険というわけでもありません。


日本でのメンタンジオール製品事情

日本ではメンタンジオールを有効成分とした虫よけ商品は少ない——そう思っていたのですが、集めてみたら意外とありました。冷感スプレー、防水スプレー、置き型、ペット用と、形を変えて流通しています。

ただし「虫よけ」の顔をしていない商品も多く、成分表示を見て初めて気づくことがほとんどです。成分表示に「メンタンジオール」または「p-メンタン-3,8-ジオール」と書かれているものが該当します。

もうひとつ、日本ならではの事情があります。日本で「蚊よけ」と書けるのは防除用医薬部外品だけなので、雑貨扱いの商品は適用害虫をユスリカやチョウバエと表示して販売されています。海外では「蚊よけ」として堂々と売られている成分が、日本では別の顔で流通している——これが、この成分が知られていない理由のひとつかもしれません。

👉 メンタンジオール配合のグッズ一覧はこちら


まとめ

  • レモンユーカリの精油成分シトロネラールを加工して作られるのが、メンタンジオール(PMD)。
  • 海外ではEPA登録・CDC推奨の虫よけ成分として、ディートやイカリジンと並ぶ位置づけ。
  • 日本でも商品は意外とあるが、冷感スプレーや防水スプレーなど「虫よけの顔をしていない」形で流通している。
  • 名前はメンタンジオール、PMD、OLE、Citriodiol®とさまざまだが、すべて同じ成分。

※本記事では、メンタンジオールについて海外での研究や評価をもとに整理しましたが、医薬品としての使用や効果効能をすすめるものではありません。日本では、精油や香り成分はあくまで雑貨や香りとして扱われており、使用する際は各製品の表示や注意事項を確認することが大切です。

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チャキン
チャキン
元庭師の主婦/レモンユーカリのひと
レモンユーカリという一種類のユーカリだけを追いかけています。鉢で育てて2年目。日本各地に実物を会いに行った記録と、虫よけ成分メンタンジオールのことを書いています。
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